県立北薩病院のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
令和8年4月1日に院長に就任しました水流尚志(つる ひさし)と申します。私が北薩病院小児科で勤務を始めたのは今から10年前、平成29年のことでした。コロナ禍前の時代ですから、遠い昔のような気がします。途中3年間姶良に転勤していましたが、令和4年から再び北薩病院に勤務し現在に至ります。
私が初めて当地に赴任した10年前、統計資料によると伊佐市の人口は25,813人、年間157人のお子さんが生まれていました。一方、令和7年の人口は21,561人、年間出生は107件です。10年足らずで4千人以上人口が減少し、出生数は三分の二になりました。65歳以上の人口が全体に占める割合、いわゆる高齢化率はこの間に39.6%から43.9%に上昇しました。湧水町も同じような状況でして、人口は9,800人から8,294人へ減少、高齢化も進んでいます。
伊佐・湧水は鹿児島県の中でも人口減と少子高齢化が著しい地域ですが、この地で営む医療もそれに比例して縮小していくのでしょうか? ここに目を引く統計値があります。平成29年には伊佐市で1,392回救急車が出動していました。一方令和7年の救急車出動回数は1,422件です。人口減少にも関わらず出動件数はわずかに増加しているのです。せっかちに原因を断定するのは避けなければいけませんが、高齢者の方々特有の事情、例えば持病が慢性的で短期間での治癒が難しいこと、いくつもの合併症を抱えていること、転倒やめまい・失神など自宅でのアクシデントが増えていることなども影響していると考えられます。自宅で我慢に我慢を重ねてどうにもならなくなって救急車を呼びました、という患者さんに度々遭遇します。
医師不足や人口減少、物価高騰など病院や地域医療を取り巻く環境は厳しさを増しています。それでも、この地で幸せに生きたいと願い求めることは住民の皆さまに保証された権利です。生活用水や農業用水が必要な人に滞りなく提供されるように、照明やエアコンのスイッチを点ければ快適な明るさや空調が得られるように、また学校や市民講座で教育を受ける機会があり、警察により治安が守られ安全な生活が送れるのと同じように、北薩病院は病苦や痛みに困った時に皆さまに適正な医療を提供します。私たちは医療のプロフェッショナルとして、当地の医療機関、看護施設と協力しながらこのインフラを支えてまいります。
病院を取り巻く環境が刻々と変わっていくのなら、病院の在り方もまた変化しなくてはいけません。古き良き長所は守りつつも、新たな取組に果敢に取り組んでいく、今がその時です。船出の新機軸として、「訪問診療」「午後の診療受け付け」「火曜金曜の循環器内科外来」「形成外科の新設」「レスパイト入院」といった取り組みをご紹介します。詳しくはトップページをご覧ください。これからも北薩病院へのご理解とご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。
令和8年4月
県立北薩病院
院長 水流 尚志









