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薬薬連携について

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「薬薬連携」とは、病院と院外の薬局の薬剤師が情報を共有し、患者さんが入院してからも、退院してからも充実した医療を受けることができるように連携することです。つまり、患者さんの情報をお互い交換しあって共有しようということです。医師で例えるなら、診療所やクリニックの医師と病院の医師が紹介状で患者さんの病状や検査結果などについてやりとりするといったことです。

 

 具体的に共有する情報は、入院前に使用していた薬剤、アレルギー情報、入院中に追加や変更となった薬剤、一般用医薬品や健康食品、薬の服用状況等です。情報の共有方法には手紙、電話、FAX、メール等様々な選択肢が挙げられますが、最も活用して頂きたいのは「お薬手帳」です。現在では、多くの方のご理解を頂き、順調に普及しております。お薬手帳を活用することで、患者さん自身だけでなく、医療従事者も様々な診療科の薬や一般用医薬品、健康食品、アレルギー等の情報を簡便に共有することが可能です。お薬手帳の新たな活用方法として、外来で抗がん剤の治療を受ける患者さんが多くなる中で、抗がん剤の治療計画(レジメン)についても情報を院外の薬局へ提供する取り組みも行われています。これらの情報を共有することで飲み合わせの悪いお薬や重篤な副作用の確認などを行うことが可能となります。

 

 当院ではお薬手帳はもちろんのこと、入院中の処方状況や退院時の処方について、院外の薬局からの問い合わせに対応しています。また、退院後の服薬が心配な患者さんについては医師の指示により、院外の薬局が患者さんの居宅を訪問してお薬の服薬状況や管理等を行うこともできます。

 

 患者さんに継続的で安全かつ効果的な薬物治療を行っていただくために、今後も地域の薬局と連携してより質の高い医療の提供を目指していきたいと考えております。

 

 

ジェネリック医薬品

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 最近「ジェネリック医薬品」という言葉をよく聞かれると思います。今回は、「ジェネリック医薬品」について簡単にご紹介したいと思います。

 

ジェネリック医薬品は、先発医薬品(いわゆる「新薬」)と有効成分や用法用量が同じ医薬品です。先発医薬品は、有効性・安全性を保証する膨大な資料を添えて、審査機関に申請し承認された医薬品で、一般的には10年~15年位の年月と150~200億円にも上る費用がかかるとされています。そのため、市販後相当年数(概ね10年)は、特許で保護され、ジェネリック医薬品の申請は認められません。一方、ジェネリック医薬品においては、成分の有効性・安全性は先発医薬品で確認されているとみなされますので、審査機関に申請する際に必要な資料は限られます。そのため、かかる年月と費用も3~5年、3,000万~1億円とされています。そのため、ジェネリック医薬品の薬価は先発医薬品と比較して低く設定されています。
 「同じ成分で薬価が安ければ、ジェネリック医薬品の方がいいに決まっている」と感じられた方もいらっしゃると思います。しかし、先発医薬品と成分は同じであっても、防腐剤等の添加物や製造方法が異なっている場合があり、一概に比較するのは難しいのが現状です。
 包括医療制度「DPC」参加医療機関の増加など、医療費適正化に向けた動きが加速する中、ジェネリック医薬品の活用が一層もとめられています。そのような状況において、ジェネリック医薬品の選定に関する客観的かつ合理的な判断基準を示し、患者さんに安心・安全でかつ適正な費用の薬物療法を提供することが、今日の薬剤師に課せられた大きな使命の一つであると考えます。

《 Q&A 》

Q:ジェネリック医薬品は日本や他の国でどのくらい普及していますか?

A:2009年現在、アメリカ71.6%、カナダ66.2%、イギリス65.2%、ドイツ62.9%、日本17.6%です。

Q:他の国でジェネリック医薬品が日本より普及している理由は何でしょうか?

A:様々な理由が考えられますが、薬剤師と患者が相談したうえで医師が処方した医薬品を同一成分のほかの薬に換えることのできる「代替え調剤」や医師が処方せんを発行する際、商品名でなく一般名で薬を処方する「一般名処方」などの制度が実施されているためではないでしょうか。

Q:今、服用している薬をジェネリック医薬品に変えたいのですがどうしたらいいですか?

A:院外でお薬を受け取られる患者さんについては、お気軽に主治医または調剤薬局の薬剤師にご相談下さい。効果や流通に問題のないジェネリック医薬品を選定し、ご提案させていただきます。

 なお、計算窓口やFAXコーナーに「ジェネリック医薬品希望カード」(写真6)を準備していますので、ご活用ください。

 また、院内でお薬を受け取られる患者さんについては、病院で準備している医薬品の制限上、ご希望に添えない場合がありますので、ご了承下さい。

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(写真6)

 

 

配合剤について

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 同じ作用、または異なる作用を持った2つ以上の成分を1つにした医薬品を「配合剤」と言います。複数の成分を組み合わせることにより、単一成分の薬よりも利便性や効果を高めたりすることができます。最近発売された主な内服の配合剤を挙げてみます。

 

 

1.血圧降下剤 

(1)アンジオテンシンⅡ 受容体拮抗薬(ARB)+利尿薬
   ・・・ARBは血管を拡張し、利尿薬は循環血液量を少なくすることにより、血圧を下げます。

  • エカード配合錠(カンデサルタンシ+ヒドロクロロチアジド)
  • コディオ配合錠(バルサルタン+ヒドロクロロチアジド)
  • プレミネント配合錠(ロサルタン+ヒドロクロロチアジド)
  • ミコンビ配合錠(テルミサルタン+ヒドロクロロチアジド)

 

(2)アンジオテンシンⅡ 受容体拮抗薬(ARB)+カルシウム拮抗薬
   ・・・ARBとカルシウム拮抗薬、共に血管を拡張して血圧を下げます。

  • エックスフォージ配合錠(バルサルタン+アムロジピン)
  • ミカムロ配合錠(テルミサルタン+アムロジピン)
  • ユニシア配合錠(カルデサルタン+アムロジピン)
  • レザルタス配合錠LD(オルメサルタン+アゼルニジピン)

2.血圧・コレステロール降下薬

(1)カルシウム拮抗薬+スタチン系
  ・・・スタチン系は、コレステロールを合成する酵素の働きを妨害して、血中コレステロール値を下げます。

  • カデュエット配合錠(アムロジピン+アトルバスタチン)

3.糖尿病用剤

(1)チアゾリジン系+ビグアナイド系
  ・・・チアゾリジン系は脂肪細胞の状態を調節することにより、ビグアナイド系は肝臓で糖を作る作用を抑え、末梢組織での糖取り込みを促進するなどにより、インスリンの効果を高め血糖を下げます。

  • メタクト配合錠(ピオグリタゾン+メトホルミン)

(2)チアゾリジン系+スルホニル尿素系
  ・・・スルホニル尿素系は、インスリンの分泌を促進して血糖値を下げます。

  • ソニアス配合錠(ピオグリタゾン+グリメピリド)

 

 薬を何種類も飲むとき、包装から取り出すのは結構手間がかかり、個数の間違いや飲み忘れが起こりやすいものです。配合剤は、これらの間違いを少なくすることができます。
 ただし、細かい分量の調整をしにくいのが欠点と言えます。今後もこのような新たな組み合わせの薬が発売されるかもしれません。

 


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