鹿児島県奄美地域の皆さまが安心して暮らせ、心の支えとなる病院を目指します。

院長挨拶

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 鹿児島県立大島病院のホームページをご覧いただきありがとうございます。
 新型コロナ感染症による行動制限やマスク着用制限が緩和され、コロナ前の日常生活が戻ってきたかのようです。当院のコロナ感染症病床も閑散としています。5月には5類感染症へと、コロナ後の時代に確実に動いているようです。一方で感染者数は減少したものの、その感染力は強いですので、院内感染予防のために患者さんへの面会や診療の際のマスク着用をお願いしております。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 さて奄美医療圏で急性期医療に携わっている当院ですが、ここ数年で急性期疾患の治療内容も目まぐるしく進歩しております。それらに合わせて当院の医療提供体制もより強化されています。特に脳血管障害に対する治療は大きく変化しています。「Time is brain」という言葉があるそうですが、脳梗塞にたいする早期のt-PA 静注療法や2014年から一般化されたステント型血栓回収デバイスによる治療、出血に対する血腫除去やクリッピングで「脳は助かる」時代を迎えています。心筋梗塞・狭心症、交通外傷、あるいは急性腹症など、早期の適切な治療が救命率の向上につながるのみならず、後遺症なく日常生活に復帰できる疾患が多くあります。各診療科の先生方のマンパワーを当院に置きながら、7名の救急科の医師が24時間体制で救急外来と救命センターで対応しております。令和3年度の1年間にドクターヘリが関わった疾患は外傷23%、脳血管障害20%、心大血管障害16%と多診療科におよび、島嶼別では徳之島98件、沖永良部59件、喜界43件、与論23件、十島村12件と多地域から患者さんを受け入れています。離島という他の医療圏と比較して距離的に大きなハンディをもつ当医療圏ですが、ドクターヘリというツールを活用しながら地域格差のない標準治療を行える体制が整った感があります。一方で限られた病床内で、患者さんの転院がスムーズにいかず、入院期間の延長がおこり、問題になっています。国は診療報酬改定のたびに急性期相当の患者さんの基準を厳しくしており、これに相当しない患者さんが病床を占めると看護必要度の低下につながります。急性期疾患を多く扱う当院であっても今年中に7対1看護基準からはずれることが危惧されています。さらに亜急性期の脳血管障害の患者さんのみならず、整形外科、あるいは心血管障害治療後の早期に強度のリハビリテーション介入の医療機能が当地域では明らかに不足しています。急性期医療を担う当院としては病床機能を医療ニーズや国策に合わせて積極的に変えていく必要性があることを地域医療構想調整会議等で訴えていますが、近隣の医療機関からはひと昔前の「県病院」のイメージがのこっているのか、最近の急性期医療のあり方に理解して頂けず、なかなか合意形成が得られず、こまっています。
 令和5年度も鹿児島県県立病院プログラムで初期臨床研修医10名が研修を開始されました。離島、地域医療と救急医療に興味があり県外の大学出身者も毎年集まってこられます。さらに全国各地、他病院研修プログラムにのって研修医を受け入れていますが、いい刺激となって研修医のモチベーションは高く保たれています。後期研修のあり方にも変化が見られます。鹿児島県からのサポートもいただきながらデューティーを抱える地域枠や自治医科出身の医師にも希望する診療科への入局や専門医取得への環境も整ってきているようです。鹿児島大学各医局とのつながりがより強くなってきたように感じます。研修を終了された暁には再度専門医としていらっしゃって当院で活躍することを期待しております。
 2020年秋には第1回の県病院祭りを開催し、多くの地域住民の方に来院いただき、当院を知っていただく良い機会となりましたが、ここ数年はコロナ禍もあり、交流の場が途絶えておりました。ポストコロナ時代にあって病院祭りなど住民の皆様方との交流も大切と考えているところです。奄美地域における公立病院として安心安全で質の高い医療を提供につとめ,皆様に信頼される病院を目指してまいります。令和5年も鹿児島県立大島病院をよろしくお願い致します。

令和 5 年 4 月 1 日

 

        院長  石神 純也

 

 

 

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