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中央放射線部

放射線に関する豆知識

Q&A

胸部のエックス線検査を何回も受けていますが大丈夫でしょうか?

エックス線検査イメージ

重複する同種の検査を何回も繰り返すことには問題がありますが、検査は必要最低限の中で実施されているものであり、放射線によるリスクよりも検査を受けることによるメリットが高いといえます。
一般的に100mSv以下では、身体には臨床的な影響は現れないと言われています。ちなみに胸部の撮影による被ばく線量は、1回当たり約0.05mSvであり、胸部撮影を約2000回受けないと100mSvにはなりません。

妊娠中のエックス線検査は受けても大丈夫でしょうか?

妊婦イメージ

胎児の被ばくが100mSv以下であれば問題はないと疫学的調査で確認されています。
通常のエックス線検査で胎児が受ける放射線の量は、その約1/20に減少します。
また、放射線が胎児に与える影響は、受精後から4ヶ月までが、発生異常を生じさせる可能性が高い時期で、5ヶ月以後ではずっと低くなります。腹部に一度に約100mSv被ばくする検査は殆んどありませんが、検査によっては線量が増える場合もありますので医師に相談してください。また、一般に妊娠可能な女性のX線検査は、月経開始後10日以内がよいとされています。

CT検査の被ばく線量はどのくらいですか?その指標にはどういったものが使われていますか?

CT検査による被ばく線量は、撮影部位(頭部、胸部、腹部、全身など)にもよりますが、1回当たり5~30mSv程度です。
また、子供の場合、放射線への感受性が高いと言われていますが、身体が成人より小さいので撮影に必要なエックス線量も少なくなります。
子供の場合、将来に渡って放射線の検査を受ける機会が増えますが、それによって放射線による影響が発生したという疫学的調査結果はありません。
CT検査で用いられる指標には、CTDIvolまたはDLPが用いられています。CTDIvolは1cm当たりの被ばくの指標として表わされ、DLPはCTDIvolの値に撮影範囲を乗じたものです。
式で表すと・・・
DLP(mGy・cm)=CTDIvol(mGy)×撮影範囲(cm) となります。

子供のCT検査で介助のため一緒に検査室に入りましたが、大丈夫でしょうか?

CT検査に限らず、放射線を使った検査では、患者さん本人以外には、放射線は直接照射されていません。
介助者が受けるのはわずかな散乱線と呼ばれるものであり、かつ、介助者はプロテクターを着用しての入室なので被ばくすることはほとんどありません。

核医学検査(RI検査)は安全なの?

核医学検査は、ガンマ線を放出する放射性同位元素(以下、RI)を体の特定の臓器や病気の場所に集まりやすい性質をもった物質にRIでしるしをつけたもの(以下、放射性医薬品)を注射し、体の外から専用のカメラでガンマ線を測定することで病気や臓器の状態の診断を行います。
放射性医薬品での被ばく量は1回あたり0.2~8mSvで時間と共に少なくなり、体外へ排泄されますので、身体への影響についてはご心配ありません。
また、薬による副作用の発現はごくまれで、あったとしてもその大部分が軽度のものです。

核医学検査後に注意することがありますか?

核医学検査も患者さん本人から放射線が出ています。しかし、病院から退出される頃には放射線の量は基準値以下になっていますので、通常どおり過ごされてかまいません。
ただし、小さな子供さんは大人に比べて放射線の影響を受けやすいので、検査後6時間程度は、お子様を長時間抱きしめたり、添い寝することは控えてください。

血管撮影(IVR)を長時間受けましたが、大丈夫でしょうか?

血管撮影は、直接動脈に入れたカテーテルを目的の血管まで進め、造影剤を流して撮影します。
また、狭い血管を広げたり、腫瘍に対して治療を行うなど、外科的手術に代わって実施されることもあります。
治療の際は、部位や手技により、撮影回数が多くなったり、透視時間が長時間に及んだりして、放射線被ばくが多くなる場合もありますので注意が必要です。検査前後に医師とよく相談してください。

放射線治療ではどのくらいの放射線を照射するのですか?利点とリスクについても教えてください。

A

照射量 一般的な放射線治療では、1日2Gy、週5日として3週~7週が基本です。
治療終了までに30~70Gyを照射します。
利点 「切らずに治すこと」であり、手術と異なり身体臓器の形態や機能を温存できる点です。
そのため、高齢者や他に基礎疾患を持つような方でも治療が可能です。
リスク 放射線により副作用や障害が生じる可能性があることです。放射線を照射する部位にもよりますが、正常組織の一部にも照射されるため、急性反応(皮膚の灼熱感や発赤、消化管粘膜炎による吐き気、嘔吐、下痢など)と、治療終了後、数ヶ月~数年後に稀に生じる晩期反応(間質細胞、血管内皮細胞の障害など)があります。
放射線治療(乳腺)を受けており、皮膚に痒みがありますが大丈夫でしょうか?

乳ガンの術後に放射線治療を行う場合がありますが、起こり得る副作用には、急性反応晩期反応(治療後6ケ月以降に起こるもの)があります。

急性反応 痒みが生じたり、日焼けのように照射部分の皮膚が赤くなったり、ヒリヒリしたりするもので、照射が終わってしばらくすると自然に治まります。
晩期反応 稀に起こるものですが、照射した乳房が張った感じで硬くなったり、脇の下の汗や皮脂が減って乾燥した感じを受けることがあります。痒みが生じた場合は、むやみに掻いたりしないように注意してください。
放射線治療部位以外の場所には全く影響は出ないのですか?

最近の治療装置は高性能化され、最新の治療が行えるようになってきています。
また、極力治療部位以外には放射線を当てないように放射線治療専門医が綿密な治療計画をたて、診療放射線技師が照射を行っています。治療部位から遠い組織への影響は殆ど心配をする必要はありませんが、目的部位のすぐ近くの正常組織には少なからず放射線が照射され影響が出る場合もあります。
治療前に主治医、放射線治療専門医とよく相談され、治療の必要性を理解されたうえで治療にのぞまれることが大切です。

 

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